会長挨拶

会長 辰巳 哲也 このたび、京都府病院協会の会長に就任させていただきました京都桂病院の若園𠮷裕です。どうぞよろしくお願いいたします。本協会の起源は昭和26年4月に京都病院長会として発足し、その後昭和39年に京都私立病院協会が分離独立した後、昭和41年6月に京都府病院協会と名称を改め平成26年7月には一般社団法人京都府病院協会として法人格を取得し新たなスタートを切りました。そのような伝統ある本協会の発展に微力ながら役割を果たすことができましたらありがたいと思います。

 新型コロナウィルス感染症については令和5年5月8日より2類相当から5類へと感染症法上の扱いが変更され社会の活動性が少しずつ高まりつつありますが、COVID-19の感染者は増加してきました。この3年半を振り返り今後どのようにこの経験を生かしてゆくのか皆様と議論を重ねたいと思います。また医師の働き方改革についてはいよいよ2024年度から開始されます。今も超勤時間が960時間以内に収まる工夫や日当直許可の取得に努められている病院や超勤時間が960時間をどうしても超過するため医療機関勤務環境評価センターに評価受審の書類を提出されている病院もあることと思います。多職種のタスクシフトも各病院で進められておりお互いに情報共有出来たらありがたいと考えております。前会長の辰巳会長が新たに企画されてきたECOM研修や看護師特定行為研修も引き継いでゆきたいと思います。またCOVID-19の影響でなかなか計画できなかった旅行を含めた院長研修を今年は是非実現したいと考えております。

 今後新たにDX(Digital Transformation)対応を会員の皆様と共に考えてゆくことができましたらありがたいと考えています。DXと申しましても多岐にわたり漠然としており私自身十分整理できておりませんが、まずはいくつかの分野で先進的に取り組んでいる病院のお話をお聞きしたいと思います。以前RPA(Robotic Process Automation)について島根県立中央病院院長の小阪先生に講演していただきましたが各病院のRPAなどの取り組みについても進められている病院がありましたら是非ご披露いただきたいと考えております。またChatGPTに対する対応やサイバー攻撃に対する対策も進めてゆく必要がありますが、何からすすめたらよいのか悩まれている病院も多いことと思います。また医療でDXの中核をなす電子カルテやEHR(電子健康記録)など個人の医療情報や医療施設間の情報のやり取りなどについてはその仕組みは以前より日本全体で共通でなければならないと個人的には考えておりますがどの程度まで共通化を進めてゆけるのか関心を持ってみてゆきたいと思います。

 さて今後大きな枠組みとして第8次医療計画や地域医療構想に沿って考えてゆく必要があります。各病院がそれぞれの地域でその役割を果たすために地域の医療機関間だけでなく患者さんの生活の場との連携がさらに必要となってきます。外来については紹介受診重点医療機関の整備が進められています。患者さんがまず地域の「かかりつけ医機能を担う医療機関」を受診し、必要に応じて紹介を受けて「紹介受診重点医療機関」を受診し状態が落ち着いたら地域に戻るといった受診の流れを明確にすることが求められています。院内においても患者さんを中心においたPFM(Patient Flow Management)と介護も含めた地域との連携をさらに進める必要が増してゆくものと考えられます。これらの整備にもDXが強く関わります。課題は山積しておりそれぞれの解決には地道な努力が必要かと思いますが会員の皆様方のご意見や暖かいご指導、ご鞭撻を賜りますことをお願いしまして私の挨拶とさせていただきます。

会長 若園 𠮷裕